宝島社が毎年実施している「このミステリーがすごい!」大賞は、ミステリー好きの編集者が立ち上げた賞です。
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毎年刊行している「このミステリーがすごい!」という、その年に他社から発売された面白いミステリーをランキング形式で紹介する書籍を作っていたのですが、それに飽き足らず「自分たちで面白い小説を世に出したい!」という思いがカタチになりました。
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毎年数百の応募作の中から、大賞が決まりますが、大賞以外にも面白いものは、文庫で発売されたりもします。中には大賞よりも売れたりするケースも多々あります。
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今回紹介するのも、そんな作品です。
タイトルは『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』。
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いうなれば、「密室密室ミステリー好きによる、密室ミステリー好きのための、密室ミステリーてんこ盛りの小説」。
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でも、マニアじゃない「密室初心者」も楽しめる作りになっている点が非常に良い。
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というか、密室初心者を密室好きにしちゃおうとする意欲作です。
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かく言う私も「金田一少年の事件簿」といったミステリーマンガこそ読んだものの、そこまで密室ミステリーがどうしても読みたい!というほどのファンではなかったのですが、密室ミステリーの楽しみ方も教えてくれる作りで、非常に楽しめました。
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舞台は「現場が密室である限り無罪」という判決が下った日本。各地で密室殺人が発生する状況となっている中、ミステリー好きな大学生が、著名なミステリー作家が遺したホテルへ立ち寄ると、そこで密室殺人が立て続けに起こり、巻き込まれていく――。
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ね、面白そうでしょ?
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クローズドサークル、ノックスの十戒、日常の謎、叙述トリック、密室の強度、二重密室、完全密室・・・といったキーワードがちりばめられ、密室ミステリーのパターンなどを分類・説明しながらも、謎解きも同時進行させ、犯人は一体誰か?という物語も楽しめるとあって、Amazonや読書メーターといった各種書評も軒並み高評価。わかりやすい登場人物名には賛否ありますが、おそらく密室ミステリ―以外では頭を使わせない、という著者の配慮だと思われます。
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何か面白い読み物ないかなー、という人はぜひ!