宝島社新書『トランプ人気の深層』を読む。
大統領選関連のニュースでコメントを求められる識者といえば、上智大学教授の前嶋和弘さん、早稲田大学教授の中林美恵子さんだが、この二人に加えて、ジャーナリストの池上彰さん、作家の佐藤優さん、ジャーナリストの高畑昭男さん、テレビプロデューサーのデーブ・スペクターさんに一問一答形式で大統領選挙やトランプについて取材した本。
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いろいろな見方をとおして、大統領選やアメリカ、二大政党制の状況は変化がよくわかる。
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以下、備忘録としての覚え書き。
■池上彰さん
・トランプは「福音派」を取り込むことで大統領になった
(・ただし「福音派」は消去法でトランプを支持している)
・トランプが新規共和党支持層を開拓し、共和党が変質した。
・新規支持層は2016年にトランプのことを知った政治とは無関係だった労働者層
・ネタニアフが個人的理由で戦争をやめない可能性
・トランプのこどもは全員ユダヤ人
■佐藤優さん
・アメリカはウクライナを勝たせる意思はない。戦術核が使用されるから。アメリカの目的はロシアの弱体化。
・そういうわけだからウクライナ戦争はウクライナ劣勢での手打ちしか結論はない。
・中途半端に参加しているアメリカはおかしい。そういう意味ではトランプは正しいともいえる。
・イスラエルとハマスの論理
・トランプの北朝鮮対応。核は認めないといいつつ認める。金政権排除はコストがかかるので、友達になることで危機を回避。
・アメリカが上の戦略をとる以上、日本の選択肢は北との国交正常化しかない。
・トランプの最大の目的は「アメリカの雇用」。それを解決できるのなら中国とも折り合いつく。
・アメリカの歴代大統領でカトリックはケネディとバイデンだけ。
・日本の外交戦略はアメリカと一緒ではない。独自路線。
・日本外交は大きく転換した。
・日本への移民はイスラム教のインドネシア、マレーシア、フィリピン人になるだろう。
女性が高等教育を受けても人口減少しないのがイスラム教。核家族せず、人口中絶が禁止されているため。
・宗教的にはトランプは長老派(プレスビテリアン)、カルヴァン派。歴代大統領ではウィルソン、アイゼンハワーとトランプ。
「生まれる前から救われる人と救われない人は決まっている」という考え。どんな逆境でも、「神の試練で、最後は勝利する」と確信しているため
逆境が怖くない。頼りがいにつながっている。
バイデンはカトリック。自分の行為によって成功するかしないかは変わると考える。
■前嶋和弘さん
・アメリカ分断は09年に始まった保守派のポビュリスト運動・ディーパーティー運動。
・2000年を境に大統領選は変質。中道よりの政策は負ける方程式。保守とリベラル極端な違いで選ばれている。
・アメリカ全体では(選挙に行く)民主党が3分の1、(選挙に行く)共和党が3分の1、(選挙に行かない)無党派が4割。
(選挙に行かない)無党派の3分の1が民主党寄り、3分の1が共和党寄り。この無党派の部分をそれぞれ取りにいく。
共和党の支持基盤で最も大きいのが「福音派」。南部の宗教保守の人。聖書を一言一句信じている人。
「福音派」は人口の20~25%。8割が共和党支持。
共和党は小さな政府&減税。
移民は基本は民主党支持。ゆえにトランプは移民NG。
・田舎は共和党、都市部は民主党。
・移民問題が大きなポイント。トランプ政権では移民NGだけに民主党政権時に移民が増えた。
・人工中絶問題も大きなポイント。
・現在のアメリカ経済は60年代頃のいい頃に戻っています。それはバイデンが財政出動しているから。
・ウクライナ戦争はバイデンの時に始まった。トランプだったら起きていなかったと共和党支持者は考えている。
・民主党共和党はかみあわないあゆみよらない。それでいいと思っている。
・分断の根には、銃規制、SGBTQもある。折りあわない。10年経てば人口動態が変わりヨリ戻しがくる。
・アメリカで内線が起こるという考えがある。
・トランプの敵はロシアではない。意識高い系の人。
残りの人はまた今度。