最期は笑って逝こう!―アンドゥー家の一夜

素晴らしいコラボでした♪


母の所属するさいたまゴールドシアターの公演に行ってきました。
当日は朝から豪雨。
大宮までの短い高速道路期間で2回も事故車に遭遇。
いずれも自損事故で怪我程度のようでした。スリップかしら。くわばら、くわばら。
今年の梅雨は雨が多くてほんと嫌になりますね。


さて、今回はケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本なので
期待大♪
ケラさんの作品は一度、常盤貴子主演の「砂の上の植物群」を
見ただけですが、小気味良いテンポの台詞回しと、
題材に関わらずどことなくシニカルで楽観的な雰囲気が
なかなか好みでした。


ところが最終幕の脚本が仕上がったのは初日三日前とか。
プロではよくある話らしいですが、なにせ皆さんご高齢。
セリフもなかなか入らず、まったく舞台がカタチになっていないとの母からの情報。
そこで開場後も開幕直前まで公開で稽古をやることになったそうです。
「ありのままを見せよう」という蜷川さんのご決断とか。
どれだけひどいのかな〜と思っていたのですが、
実際に目にしたらそれはそれで面白い趣向でした。
そこここで出演者が必死で練習をしており、蜷川さんやスタッフの方々が
指示を出しています。
めったに見られるものじゃありませんし、自分たちまで舞台の一部になったよう。
実は参加(共犯)意識を持たせる高度な戦略でしょうか。


蜷川さんは友部役の女性の方に劇中で語るチェーホフの「ワーニャ伯父さん・・・」
というセリフを何度も言い直させてました。
私たちが聞いていてもどこが悪いのかよくわからなかったのですが
あとで母に聞いたところ“チェーホフのセリフは演劇人なら
一度は舞台で発してみたいセリフ。しっかりと発しないと
チェーホフファンに笑われる”とのことなのだそうです。
チェーホフ・・・ちゃんと読んだことありません(^^;)


そして開幕。
死を目前にしたポルトガル在住の学者、安藤先生。
かつて演劇部顧問だった安藤先生危篤の報を聞き、
教え子たちが続々と集まってくる。
何十年ぶりかに再会した彼らもいろいろな
事情や人生を抱えている。そこに主治医やら隣人のポルトガル人やら
教え子の家族たちやら関係者がさまざまに絡み合っていく、というストーリー。
3時間を超える長いお芝居でしたが、期待以上でした!
今まで見たゴールドシアター作品の中で文句なく一番!


かなりの人数のプロンプターが控えてましたが
(蜷川さんがプロンプターをやってたのには驚きました。
よっぽど不安だったのでしょうね・笑)
それを忘れるぐらい、ストーリーの妙に引き込まれました。
死を扱いながらもどことなくコミカルで、そして
ゴールドシアター団員だからこそ出せる人生の重みが
しっかりとスパイスになっていました。
特に安藤先生役の中野さんは笠智衆みたいないい味わいで
存在感がありました。
もはや演技でもないような・・・


母は安藤先生の妻・鈴代の昔の友人役で
今回もほとんど出番はありませんでした(^^;)
でもケラさんの素晴らしいところは端役にも友人Aとかではなく、
ちゃんと名前がついているところ。母にもモモヨという役名が。
前回の船上のピクニックは難民CとかDとかでしたがちょっと昇格!?
42人もいるのにですよ!
主要人物に関しては、最初の本読みを見て役者の個性に合わせて
かなりその後書き込んだそうです。
とにかく面白かった! ケラさん天才!!
ケラリーノ×蜷川幸雄の舞台に立てるなんて、
たいして出番はなくても母は幸せ者ですね。